パーキンソン病に対して鍼灸が出来ること(31)

パーキンソン病の方の中には手に力が入らないと訴える方がいらっしゃいます。

原因として他の疾患も合併している場合も少なくありません。

頸椎の椎間板ヘルニアや変形性脊椎症、胸郭出口症候群などの疾患で手に力が入らない症状が出現することがあります。

特に胸郭出口症候群は良くあるものです。

なで肩の女性に多く、首の筋肉の緊張が強くなって首から手に行っている神経が圧迫されるものです。

鍼灸の適応症で、良くなりますのでぜひ施術を受けていただきたいです。

パーキンソン病の進行が遅い人

パーキンソン病を発症して年数が長いのに、さほど症状が進行していない人がいらっしゃいます。

共通点としては、スポーツを続けていること、趣味を持っていることなどが挙げられます。

体を動かすことや歩くことは血流(特に脳)を改善する効果が期待できます。

また、楽しむことは、ドーパミンの分泌を促す効果があると考えられます。

鍼灸治療を続けている方も、パーキンソン病の進行が遅いと感じています。

理由としては鍼灸治療により扁平足の改善・歩行の改善・手指の動きの改善が行われ、脳の血流が良くなったことが第1に挙げられます。

また、不睡・便秘などの解消は全体的な調子を高める役割があると考えています。

脳の予備能力について

脳には障害が発生した時に働く予備能力というものがあることが分かっています。

パーキンソン病ではすくみ足が起こりますが、床に線を引いてまたいだり、メトロノームなどを使った聴覚刺激ですくみ足が改善します。

パーキンソン病ではこの予備能力がかなり残っていると考えられます。

そのため鍼灸治療によって効果が出やすいのではないかと考えております。

パーキンソン病の原因(5)

同じパーキンソン病でも人によって症状はかなり異なります。

ふるえがメインのタイプ・ふらつきがメインのタイプ・言語障害がメインのタイプ・すくみ足がメインのタイプなどがあります。

ふるえ・言語障害・すくみ足これらの症状の共通事項は筋固縮と言って筋肉の緊張が強くなっていることで肝の病証と考えます。

ふるえでは手の筋肉が、言語障害では発音に関する筋肉が、すくみ足では足の筋肉が硬くなっています。

ふらつきがメインのタイプは痰飲と言ってリンパや脳脊髄液の流れが悪いと考えらえます。

また、疲れやすい・意欲が低下しているなどの症状は腎虚証と考えられます。

パーキンソン病に対して鍼灸が出来ること(30)

パーキンソン病の方の中には上半身が片側に傾いてしまう症状のある方がいらっしゃいます。

これを斜め徴候と言います。

斜め徴候がある方は片側へは側屈しやすく、反対側にはしにくくなっています。

この症状に対して頭にハリをすることで、左右のアンバランスを改善していきます。

ふらつきがある場合、斜め徴候があると余計バランスが悪くなりがちです。

その場合はふらつきに対する治療も合わせていきます。

効果的なツボは頭・手・足にあります。

日常生活で気をつけること(3)

手足の動きが悪かったり、ふらつきがあったりすると、どうしても周りの人がサポートを過剰にし過ぎてしまうこともあります。

筋肉は使わないと衰えてしまいます。

日常生活で出来ること(着替え・買い物など)は出来るだけご自分でなさるようお願いします。

家事も結構良いリハビリになります。

散歩は1日30分位が良いかと思います。

また、声が出にくい方や発音しにくい方は、朗読やカラオケをおすすめします。

症状の改善が速い人・遅い人

パーキンソン病では1人1人訴える症状が異なります。

症状は大きく2つのグループに分けられます。

1つは陽の症状(熱・機能亢進)でもう1つは陰の症状(冷え・機能低下)です。

筋肉が硬い・便秘などは陽の症状です。

元気がない・頻尿などは陰の症状です。

陽の症状には主に鍼治療を、陰の症状には灸治療を行なっています。

陽の症状と陰の症状が合わさっており両方とも強い場合、両方の治療を同時に行なうと治療効果が出ないことがあります。

パーキンソン病では陽の治療を優先します。

したがって陽の症状だけで軽めの場合は症状の改善が速いことが予測できます。

陽の症状と陰の症状が合わさっており両方とも強い場合は症状の改善に時間がかかる可能性があります。

日常生活で気をつけること(3)

パーキンソン病の方は自宅で転倒しない様工夫する必要があります。

電化製品のコードが床に出ているとひっかけて転倒の原因になりますので、テープで張ったりして引っかからないようにして下さい。

敷物も引っ掛かりの原因になりますので置かないようにして下さい。

出来ればバリアフリーにし、手すりをつけて下さい。

椅子はソファーの様なやわらかいものではなく、硬く、肘かけがついている物の方が使いやすいとのことです。

ベッドには柵をつけて下さい。

ベッドのマットレスは柔らか過ぎると体が沈んで動きが悪くなりますので硬めのものにします。

出来れば電動ベッドにして下さい。

階段には手すりと滑り止めを設置して下さい。

浴室には手すりと滑り止めマットと椅子を設置し、出来ればバスボードも装着して下さい。

バスボードとは浴槽の上部に取り付け、腰かけて入浴をしやすくするものです。

きちんと環境を整えて毎日歩行することが、筋力低下を防止し悪化を防ぐことになります。

薬の副作用について

パーキンソン病の治療薬(Lドーパなど)を服用していると、ジスキネジア(不随意運動)や幻覚などが起こることがあります。

ジスキネジア(不随意運動)とは動かすつもりもないのに手や足が動いてしまう事です。

幻覚は実際にはないものが見えたり、聞こえたりすることです。

これらは薬の量が多すぎることによって起こっております。

特にドーパミン受容体刺激薬で起こりやすいと報告されています。

したがって先生に相談して薬の量を減らしてもらったたり、薬の内容を変えていただいた方が良いと思います。

パーキンソン病を悪化させないために(2)

以前のブログでパーキンソン病は過労・精神ストレス・睡眠不足で悪化する場合があると書きました。

それにもう1つ風邪を加えます。

風邪を引くと嚥下機能が低下している場合は誤嚥性肺炎のリスクが高まります。

また、特に嚥下機能が低下していなくても風邪を引くとパーキンソン病自体が悪化することがあります。

風邪予防のツボとしては地機・照海・母趾内端などがあり、お灸をお勧めします。