日常生活で気をつけること(2)

以前このブログでパーキンソン病の原因として酸化ストレスがあるので抗酸化作用のある食べ物を摂ることをお勧めしました。

パーキンソン病専門医の宮崎雄二先生によると、脂肪・タンパク質を多く食品を摂り過ぎないようにすることが重要とのことです。

脂肪をはじめとする消化の悪いものを多く摂ると、食べ物が腸に移動するのに時間がかかり、パーキンソン病の薬の吸収が遅れるとのことです。

また、食事の量が多すぎるとやはり食べ物が腸に移動するのに時間がかかり、パーキンソン病の薬の吸収が遅れるとのことです。

パーキンソン病の治療薬であるL-ドーパはアミノ酸の一種ですが、タンパク質もアミノ酸から構成されています。

したがってタンパク質を摂り過ぎるとL-ドーパが脳内に入りにくくなってしまうとのことです。

現在パーキンソン病で治療中の方とお話をしていると、日によって体調がかなり違う方がいらっしゃいます。

上に挙げた原因に当てはまる方もいらっしゃるかもしれません。

運動について

パーキンソン病では筋肉が硬くなっているだけではなく、筋力低下が起こっている場合もあります。

前傾姿勢が起こっている場合は背骨を支える脊柱起立筋の筋力低下が起こっていると考えられ、背筋力をつける必要があります。

腰が曲がっている場合にはお尻にある大殿筋の筋力低下が起こっている可能性があり、下肢を後ろに挙げる運動を行なうことをお勧めします。

常時膝が曲がったまま歩いている場合にはモモの前面にある大腿四頭筋の筋力低下が起こっている可能性があり、足を蹴り上げる運動をすることで改善します。

歩くときに後方に蹴る力が弱い場合には下腿三頭筋の筋力低下が起こっている可能性があり、つま先立ちの運動をお試し下さい。

ストレッチについて

パーキンソン病では関節を曲げる時に伸ばす筋肉が緩まなかったり、伸ばす時に曲げる筋肉が緩まないという現象が起こっています。

この現象を改善する治療を当院では行なっております。

更にご自分でストレッチを行なっていただくとより良い状態が保たれます。

ストレッチを行なう部位で最も重要な部位が3ヶ所あります。

1つ目は足関節です。

アキレス腱を伸ばすストレッチを行なってください。

2つ目は股関節です。

股関節が前方に曲がっている状態になりますと、前かがみの不良姿勢になってしまいます。

股関節を曲げる筋肉である腸腰筋のストレッチを行なうことで改善します。

一方の下肢を膝を曲げた状態で前に出し、もう一方の下肢を後ろに伸ばしていきます。

3つ目は胸部から腹部のストレッチです。

うつぶせになり、手を脇につき、上体を起こしていきます。

ヨガのスキのポーズです。

是非お試し下さい。

パーキンソン病に対して鍼灸が出来ること(29)

パーキンソン病で治療中の方は複数の薬を服用している場合も少なくありません。

そのため薬の副作用で胃の不調を訴えることがあります。

胃の不調としては胃が重い・胸やけ・吐き気・食欲不振などの症状が挙げられます。

もしこのような症状がある場合、更に薬を服用するのではなく、鍼灸治療を受けられることをお勧めします。

胃の不調に効果的なツボとしては内関・中脘・足三里・地機などがあります。

パーキンソン病に対して鍼灸が出来ること(28)

パーキンソン病で治療中の方から「手の力が入りにくい」という相談を受けることがしばしばあります。

実際に診てみると、握力や手指を外に開く動きが弱くなっている場合が多いです。

また、胸郭出口症候群と言って首の筋肉の過緊張により首から手に行く神経が圧迫される疾患を合併している場合もあります。

この症状に対し、首の筋肉の緊張を緩和する治療と手の治療を合わせることにより握力や手の動きが改善します。

もしそのような症状がありましたらご相談下さい。

パーキンソン病に対して鍼灸が出来ること(27)

パーキンソン病で問題となることの1つが転倒です。

転倒により骨折をしたり、重症の場合には寝たきりになってしまうこともあります。

転倒する要素としては、バランス機能低下・下肢の筋力低下が挙げられます。

筋固縮により足関節が硬くなっていること、扁平足があることも下肢の動きを悪くしていると考えられます。

鍼灸治療ではバランス機能低下に対し、めまいやふらつきに効果的なツボを使って治療します。

足関節の硬さに対しては、足の筋肉の緊張を緩和し足関節の動きを改善する治療を行ないます。

更に扁平足に対し、後脛骨筋などの力を高める治療を行ないます。

パーキンソン病に対して鍼灸が出来ること(26)

パーキンソン病では腰痛をはじめとして体に痛みを訴えている場合が結構あります。

元々その場所に問題があることも多いです。

例えば変形性関節症になっている場合があります。

膝や指などで見られます。

変形性関節症による痛みは鍼灸で血流を良くすることにより痛みが改善します。

筋肉のこりが強くなって痛みが出現する場合もあります。

首や背中・ふくらはぎなどで見られます。

筋肉のこりによる痛みは鍼灸により筋肉の緊張が緩和することにより痛みが改善します。

それ以外でもその症状が鍼灸治療で改善する場合は合わせて治療を行なっていきます。

姿勢と精神の関係

パーキンソン病の症状として前傾姿勢というものがあります。

実際に診てみると上半身では2つの問題点があります。

1つは首が前に突き出して固まっています。

もう1つは肩が内側に入って固まっています。

この姿勢を取っていると精神的に「うつ」になりやすいです。

この症状に対し、2つの治療を行なっております。

肩の動きを改善する治療と首のこりを改善して後ろへ行きやすくする治療です。

また、背筋の力が弱いとこの症状になりやすいので、背筋をつけることも重要です。

パーキンソン症状を引き起こす薬

薬の副作用については周知のこととなっておりますが、薬を服用することでパーキンソン病の症状が起こることがあります。

1つ目は統合失調症などに使われる抗精神病薬です。

この薬を服用するとドーパミンの作用が低下するため副作用としてパーキンソン症状が発現しやすいです。

2つ目として脳代謝改善薬があります。

以前鍼灸治療にかかっていた方が認知症予防のためこの薬を服用していました。

小刻み歩行を初めとするパーキンソン症状が出現しましたが、薬の中止で症状が消失しました。

3つ目として吐き気を止める薬であるプリンペラン・ナウゼリンといった薬があります。

これらの薬はドーパミン受容体に作用するためパーキンソン症状が発現する可能性があります。

薬の副作用の出現には個人差があり、これらの薬を服用したからといって必ず出るわけではありません。

しかし、もしパーキンソン病になっているのであれば、他の方より気をつける必要があると思います。

パーキンソン病を悪化させないために

パーキンソン病の方では日によって症状が変化することがしばしば見られます。

不調の引き金となるものとして、睡眠不足・過労などが挙げられます。

長期的に見た不調の原因として便秘・強い持続した精神ストレスがあります。

これらの増悪因子を出来るだけ少なくして鍼灸治療を続けると症状が改善することができます。

逆にいくら鍼灸治療を続けていても、増悪因子が多ければ改善することは難しくなります。

ぜひ体の声を聴いて、ご自分の体を良い状態にキープできるようになって頂きたいです。