鍼灸治療の効果が出やすい人・出にくい人

同じパーキンソン病でも鍼灸治療の効果が出やすい人と出にくい人があります。

これは他の疾患でも同じです。

元来体質的に鍼灸治療の効果が劇的に出やすい人が数パーセントいらっしゃいます。

それ以外の方は劇的ではないけれどある程度出ます。

鍼灸治療を継続していると、治療効果が劇的に出るようになることがあります。

また、ヨガをしている方は、鍼灸治療の効果が出やすい様です。

ですから治療効果を高めたい方にはヨガをお勧めします。

パーキンソン病では関節が硬くなっていることが多いのでヨガはあっていると思います。

一石二鳥の効果です。

パーキンソン病に対して鍼灸が出来ること(38)

特に女性の患者様から多い訴えとして、「調理の時にかき混ぜる動作がしにくい」、「フォークでスパゲティを食べる動作がしにくい」、「炒め物をする動作がしにくい」というものがあります。

最初は出来ているのにだんだん動きが悪くなったり、ふるえが出てきたりするとのことです。

パーキンソン病では屈筋と伸筋を交互に動かす動作がスムーズにいかないことが有名ですが、回内筋(内側に捻る)と回外筋(外側に捻る)を交互に動かす動作もスムーズにいかないようです。

この症状に対して頭部のツボや手のツボを使うことで、動作が改善します。

「お蔭様で調理が楽になりました。」とうれしい報告を受けています。

 

パーキンソン病の運動療法

パーキンソン病の方には鍼灸治療と合わせて運動療法をお勧めしています。

筋肉が硬くなっているだけではなく、筋力低下も合併している場合が多いためです。

首が下がっている場合には、首の後ろの筋肉をきたえることをお勧めします。

腰が前かがみになっている場合には、背筋をきたえることが効果的です。

猫背になっている場合には、ボートをこぐような運動(広背筋)をしていただくと良いです。

足が扁平足になっている場合にはタオルギャザーリング(タオルを足の指でつかむ運動)がお勧めです。

これらの運動をすべて行うのではなく、ご自分の症状に合わせて選んで行ってみて下さい。

パーキンソン病に対して鍼灸が出来ること(37)足の動き

足の動きが悪いことが気になっている方はかなり多いと思います。

その中でも「スリッパをうまくはけない」という訴えは多いものです。

これは足趾の動きの悪さにより出現しています。

足趾の第1関節・第2関節が硬くなっていることが原因の一つです。

その原因としては加齢による変形性関節症と扁平足が挙げられます。

関節の硬さは鍼灸治療で改善が期待できます。

血流が改善された効果と考えられます。

扁平足は鍼灸治療でアーチを作る筋肉へアプローチすることと体操(足趾を屈伸する)で改善が期待できます。

パーキンソン病における筋力低下

パーキンソン病では筋肉が硬い・ふるえ・足のすくみ・ふらつきなどが注目されやすいですが、筋力低下がある方も少なくありません。

パーキンソン病における筋力低下は注目されておらず、あまり研究されていないようです。

原因は体の動きが悪くて筋肉をあまり使わないために起こっているのか、別の原因があるのかはっきりしていないとのことです。

現在手指や下肢の筋力低下がある方を何名か治療しています。

治療後筋力低下が改善しています。

手の筋力低下が改善すると家事や仕事がしやすくなり、下肢の筋力低下が改善すると立ち上がり・歩行が楽になるとのことです。

パーキンソン病に対して鍼灸が出来ること(36)

パーキンソン病の方では外反母趾を発症している場合が少なくありません。

その原因として扁平足が挙げられます。

アーチを作る筋力が低下しているのです。

当院の鍼灸治療ではアーチを作る筋肉へのアプローチ行なうとともに母趾の血流を改善していきます。

その結果母趾や下肢全体の動きが良くなり、歩行しても痛みが出現しにくくなります。

また、ご自分で扁平足改善の筋力トレーニングをしていただいています。

足指をグーパーしたり、タオルをつかんだりするトレーニングです。

薬を増やさない

パーキンソン病ではLドーパをはじめとする様々な薬が出されます。

薬を使うと症状が軽減する一方、多すぎると副作用としてジスキネジア(不随意運動)が出現することがあります。

鍼灸治療を継続していると、薬の量が増えないことが多いようです。

また、薬が効いている時間が長くなった人もいらっしゃいます。

出来るだけ薬を増やさないようにしながら体の動きを良くする鍼灸治療を行なって、コンディションを改善していきたいと思っております。

鍼灸治療の直後効果

パーキンソン病に対して鍼灸は直後効果を発揮することが出来ます。

具体的には、痛みが取れる・筋肉の硬さが取れる・歩幅が広くなる・関節の動きが良くなる・すくみ足・バランス機能が改善するなどです。

股関節の硬さや前傾が改善することによって、姿勢がすぐに良くなる場合もあります。

バランス機能が改善することによって転倒を予防することが出来ます。

パーキンソン病に対して鍼灸が出来ること(35)むずむず足

夜ふとんに入ると足がむずむずして来て動かさないではいられない状態がレストレッグス症候群です。

その他座っている時に足を動かしたい欲求が出現します。

足を動かしたい欲求はウォーキングなどの運動で改善します。

レストレッグス症候群はパーキンソン病の10%位で出現します。

この症状に対し、鍼灸では過敏性を緩和する治療・精神をリラックスさせる治療などを行なっています。

サルコペニアとパーキンソン病

サルコペニアとは加齢に伴い筋肉の量が少なくなったり、筋肉の力が低下することです。

サルコペニアの状態になっていると、転倒したり要介護の状態になりやすいと考えられています。

サルコペニアの状態を防ぐには、3つの方法があります。

1つ目はタンパク質を良く摂ることです。

筋肉をつけるには、肉などの動物性のタンパク質を取った方が良いと考えられています。

2つ目は運動です。

使わない器官は衰えます。

毎日歩くことと、筋肉を鍛えることをお勧めします。

3つ目は鍼灸治療です。

脾経を中心に治療を行ない、筋肉の支持力を高めていきます。